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| 十二本ヤス |
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[十三湖の風保存版](当店発行の情報誌『十三湖の風 第910号』より)
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![]() ▲幹周り7.23mのヒバの巨木は神の木だ |
若葉におおわれた初夏の林道は実に爽やかである。林道右の眼下には金木川上流の沢が木々の間から見え隠れしている。その度に水の流れが陽の光を反射して輝やく。 駅や斜陽館がある金木町の中心部から東へ車を向け、十二本ヤスと書かれた案内板を過ぎると間もなく舗装道路が林道へと変わる。幅が狭いので対向車に気を付けてゆっくり林道を走る。金木駅からは二十分程で「十二本ヤス」に着く。林道沿いに二〜三台の車が駐車できるスペースがある。目の前の鳥居をくぐり一〜二分も歩けば巨大なヒバの木が現れる。 この辺りはヒバの木が群生している。見上げるとそれらのヒバや様々な木々の若葉が頭上を覆い、初夏の大陽をさえぎっている。「十二本ヤス」の根元には赤い小さな鳥居が置かれている。神秘的な空間を肌に感じる。 樹齢八百年以上、樹高三十三メートル、幹の周囲七、二三メートル。このヒバは幹の途中から十二本の枝に別れている。この形は魚を突く「ヤス」に似ているところから「十二本ヤス」と呼ばれている。不思議なことに新しい枝が出て十三本になっても必ず一本枯れて常に十二本になる。十二月十二日は山の神を祭る日となっていることから神が宿っているといわれ神木としてあがめられてきた。 根元から上を見上げると十二本の枝の間から木もれ日が射している。薄暗い森の中に数本の線となって木々の葉を照らしている。「十二本ヤス」に寄り添い深呼吸をすると山川草木も人間も仏心仏性があり清浄心を持つことができるのだという釈尊の言葉を思い浮かべる。 この神秘で偉大な自然の中に身を置き、静かな心の時間を持つことを私たちは必要としているのかも知れない。 |
▲主幹の途中から伸びる12本の枝 |
![]() ▲12本の枝が陽射しを遮る |

