津軽十三湖しじみ亭奈良屋
カゴの中身を見る
0120-135-443
Eメール: nara135@jomon.ne.jp


トップページ > 十三湖だより > 十三湖の風保存版バックナンバー > 第3号  
春に輝く津軽十三湖
[十三湖の風保存版](当店発行の情報誌『十三湖の風 第3号』より)


▲十三湖大橋から湖を眺める(右手前は日本海へ続く)
湖畔に並ぶシジミ小屋

 三月下旬のしじみ亭奈良屋の目の前に広がる津軽十三湖湖畔を紹介する。十三湖は青森県津軽半島の北西にある周囲30キロの海水と淡水が混ざりあうしじみの生育に適した汽水湖である。最大水深は1.5メートルしかなく湖の中央まで歩いていけるのである。湖の南側には岩木川の河口があり、西端の「十三湖大橋」の下から日本海へとつながっている。
 しじみ亭と湖沿いの吉田松陰の碑の間を走る国道339号線を市浦、小泊方面へ向う。道は間もなく左手の湖を離れ小高い坂道の雑木林の中へと続いて行く。やがて左の湖側の方に史跡福島城跡が見えてきた。ここはもう市浦村である。城郭は見る事はできないが復元された城門や十三湖を見渡すことができる展望台と史跡の案内板が建っている。この福島城は標高20メートルの高さにあり城郭の一辺は1キロメートルもあった大規模なものである。

 中世にこの地を支配した安倍・安東氏の居館と伝えられているが近年の調査によると平安時代に築城された可能性があるとのことだ。いずれにしてもこの巨大な城郭を築くことができた者はこの地方に相当大きな力を持っていたのであろうがはっきりしていない。
 再び国道を進むと左右に放牧場が現れてきた。左前方には道の駅「十三湖高原トーサムグリーンパーク」と十三湖が見えてくる。ここには地元のお土産の販売所やお食事処、休憩所があり、小高い丘にあるので十三湖がよく見渡せる。
 「道の駅」を過ぎて松林を左に見ながら緩い坂道を下り始めやがて国道を離れ、左折すると市浦村の市街に入る。右手にはヒバを使った木造の市浦村役場が現れてくる。無機質な近代的な役所の建築とは違い温かなホッとする建物なのだ。そのまま道を走りT字路を左折すると間もなくお土産屋が並ぶ駐車場に着いた。この時期には店を閉めているがその店の数を見ると観光シーズンにはかなり賑わいを見せることがわかる。駐車場の向いには十三湖が広がっており、一本の木造の橋が架けられている。木造なのだが車が通 れる250メートルの長さのこの橋を渡るとそこは中ノ島という島である。この島はキャンプ場や歴史民俗資料館、プラネタリュウム等の施設がある「中ノ島ブリッジパーク」である。これらの施設は12月下旬から3月末まで休館になるが夏には多くの子供連れの観光客やキャンパーが訪れる。

※中の島ブリッジパークへの問合せ先
 TEL0173-62-2775

▲権現岬を眺める海岸

▲冬の気配が残る日本海

▲湖畔に並ぶしじみ小屋


▲道の駅

 

▲市浦市役所

▲津波之塔




▲十三湊の入口
 先程の駐車場からそのまま道を南に向うとすぐ大きな橋が見えるがその手前を左の脇道に入り道なりに進みその橋の下をくぐり抜けると眼前に大きな日本海が広がっていた。十三湖と日本海がここでつながっているのだ。冬のなごりがまだ消えない日本海の波が海岸に打ち寄せていた。波に削られた丸い小石の海岸沿いの北の方には遥か彼方に下前漁港がある権現崎が見え、そして海岸の先に細く伸びた灯台は冬と春の狭間の季節の海に不思議なもの悲しさを見せていた。この海岸には1983年に襲われた日本海中部沖地震津波による死者をともなう被害を繰り返さないために「津波之塔」が海を背にして建てられている。雲の合間に大陽が見えているものの海岸の風はまだ冬の冷たさである。
 海岸を後にして先程の大きな橋「十三湖大橋」を渡る。この橋を渡り終わると左右にしじみや魚介類の販売や料理を食べさせてくれる店が並んでいる。またここからは十三湊(とさみなと)という地域である。中世の頃、日本海交易で名を馳せた安東氏の処点港湾都市として栄えたが突然と消え去った「幻の港町」と呼ばれている。その遺跡が近年の発掘調査により次々と姿を現わしている。東に十三湖、そして西に日本海に挟まれた細長く海水面 と同じ高さにあるようなこの地を歩いて見ると確かに見事な港湾として栄えただろうことを想像させてくれる。

 各所にある遺跡の案内板を見ながら十三湖の湖畔に出てみた。湖畔にはたくさんの小さな小屋が湖に沿って並んでいた。小さなカラフルな小屋の煙突からは煙りが立ち上り、軒先きには魚の干物が吊るされている。目の前の湖面 には細く長い木の杭が整然と立っている。これはしじみ漁師達の縄張りなのだそうだ。いわゆる個人の持ち場なのでしじみ漁解禁を問わずしじみ漁ができるのである。雲間から差す陽射しが照らす湖面 、何軒も並ぶしじみ小屋のたたずまいそしてその間を走る道を漁師や子犬が行き交う。遠くに残雪の山並を眺めまだ冷たい水面 で漁をする風景は間もなく十三湖に本格的な春としじみ漁の季節の到来を告げている。一人の漁師が缶 コーヒーを片手に近付いてきた。話しを聞くとしじみ漁師になる若者が最近増えたそうだ。なるほど近くには若い漁師が見える。間もなく解禁になるとこの漁師達のFRP製の船が湖の沖合いを賑やかにするのであろう。
 十三湖を訪れる機会があったらこの「十三湊」としじみ小屋が並ぶ湖畔に立ち寄っていただきたい。神秘的な匂いのする幻の港湾都市の遺跡と、生き生きとしたしじみ漁師達の姿をこの湖畔に立って眺めているとなぜか気持ちの良い不思議な空間を感じるであろう。この十三湊を更に南へ向うと岩木川の河口と車力村であるが、いつかの機会にあらためて紹介したい。
 4月末には十三湖から車で30分程のところにある太宰治の故郷金木町の芦野公園の桜が満開になる。そして十三湖の湖面 を渡る風がさわやかに頬をなでる、そんな津軽の春を是非訪れていただきたい。



▲漁場の境界の木杭が見える

▲金木町芦野公園の桜
 



copyright 2002 © shijimitei-naraya all rights reserved.